DVD-RAM Software RAID/Linux (2) -- DVD-RAM ソフトウェア RAID/Linux (2)
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2003.12.14

 前回、LinuxのソフトウェアRAID機能によりDVD-RAMドライブ2台をRAID0(ストライピング)を構築、容量約9Gバイトのストレージとして使う実験を行いました。

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 今回はDVD-RAMドライブ4台を用意してRAID0を構築し、容量約18Gバイトのストレージとして使えるか試してみました。
 単純にドライブが増えただけで、やってることは2台のときとまったく同じなのですが、同一のDVD-RAMドライブを4台用意できなかったので、ATAPI/SCSI/USB2.0の3つが混在しています。

■使用した主なハードウェア/ソフトウェア
  • DVD-RAMドライブ
    日立LG GMA-4020B (ATAPI) 1台
    Panasonic LF-D200 (SCSI) 2台
    Panasonic SW-9571-CYY (USB2.0) 1台
  • マザーボーASUS A7M266
  • CPU Athlon 1.33GHz
  • RAM 512Mバイト
  • SCSIカード DiamonMultimedia FirePort 40
  • USB2.0カード 玄人志向 CHANPON2LTD-PCI(NEC μPD720100)
  • Linuxカーネル 2.4.23

 前回はSCSI接続のLF-D200を2台使いましたが、今回はそれにATAPI接続のGMA-4020Bと、USB2.0接続のSW-9571-CYYが加わった形です。
 以前はUSB2.0やIEEE1394接続のドライブを使うと突然リブートしてしまうという問題が発生して使えなかったので、今回はマザーボードを変更しました。その結果、USB2.0接続のドライブもまったく問題なく使えました。
 USB2.0接続しているSW-9571-CYYは、USB2.0外付ケースKEIAN KP550Uに取り付けています。

 LinuxでのRAIDの設定方法等は前回の記事を見てください。ここではDVD-RAMドライブの認識状況を示す、cat /proc/sys/dev/cdrom/info の内容と、RAIDを設定する /etc/raidtabファイルの内容のみ掲載しておきます。

■ LinuxでのDVD-RAMドライブの認識状況
$ cat /proc/sys/dev/cdrom/info
CD-ROM information, Id: cdrom.c 3.12 2000/10/18

drive name:             sr2     sr1     sr0     hdc
drive speed:            0       0       15      16
drive # of slots:       1       1       1       1
Can close tray:         1       1       1       1
Can open tray:          1       1       1       1
Can lock tray:          1       1       1       1
Can change speed:       1       1       1       1
Can select disk:        0       0       0       0
Can read multisession:  1       1       1       1
Can read MCN:           1       1       1       1
Reports media changed:  1       1       1       1
Can play audio:         1       1       1       1
Can write CD-R:         0       0       1       1
Can write CD-RW:        0       0       1       1
Can read DVD:           1       1       1       1
Can write DVD-R:        0       0       1       1
Can write DVD-RAM:      1       1       1       1
■ /etc/ratdtab の例
raiddev /dev/md0
        raid-level              0
        nr-raid-disks           4
        persistent-superblock   1
        chunk-size              8
        device                  /dev/hdc
        raid-disk               0
        device                  /dev/sr0
        raid-disk               1
        device                  /dev/sr1
        raid-disk               2
        device                  /dev/sr2
        raid-disk               3

ベンチマークテスト

 それで、前回と同様にLinux EXT2ファイルシステムでフォーマットした後に、bonnie++ 1.03 でベンチマークテストを行ってみました。
 下の表がその結果です。

bonnie++ DVD-RAM RAID-0 Benchmark Result
Version 1.03 Sequential Output Sequential Input Random
  Per Chr Block Rewrite Per Chr Block Seeks
Size K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP K/sec %CP /sec %CP
1G 4720 83 5396 4 1900 5 4083 74 6512 12 19.1 0
  Sequential Create Random Create
  Create Read Delete Create Read Delete
files /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP /sec %CP
16 1518 98 +++ +++ 19999 23 1819 99 +++ +++ 3576 99

 細かな数字が並んでいますが、注目する点は黄色で示したSequential Output/Sequential InputのBlockのところです。
 書込速度は5396Kバイト/秒はK(キロ)を10の3乗で換算し直すと5525kバイト/秒となり、DVDで3.9倍速となり、通常の書込速度の4倍に近い速度が出ています。ただし、前回もそうでしたがOSのキャッシュが働いているため、実際にディスクに書き込んでいる速度はもっと遅いはずです。
 読込速度は6512Kバイト/秒は同じく10の3乗で換算し直すと6668kバイト/秒となり、DVDでの4.8倍速となります。単純にDVD-RAMドライブ4台分の速度を積み上げると11,080kバイト/秒となりますが、実際には6割程度の速度アップにとどまっています。
 並列にアクセスして高速化するといっても使用するドライブが増えると、シークや回転待ち時間などの遅延が多くなるので、単純に接続した台数だけ速度アップするわけではありません。しかも、今回は使用しているドライブやインターフェースがバラバラですから、一番遅いドライブが基準になってしまいます。

 読込速度は思ったほど向上しませんでしたが、読み書きの速度の速度の差が縮まっているので、バランスはいいかもしれません。
 DVD-RAMの場合、書込速度が遅いのがネックでしたが、それについてはキャッシュの効果もあって確実に速くなっているし、バックアップ用ならこれで十分です。読込速度も思ったほど速くならなかったとはいっても、6668kバイト/秒出ていれば、とりあえずは十分です。

まとめ

 今回の実験で、ATAPI内蔵ドライブや外付ドライブを組み合わせてもストライピングを構築して使えることがわかりました。
 4台でストライピングして容量は約18Gバイトですから近頃の安価な100Gオーバーのハードディスクと比較すると見劣りしますが、そこそこのコストで安全にバックアップできるデバイスはなかなかありません。
 予算が贅沢にあるのならテープドライブでも使うのでしょうが、テープは個人で使うにはドライブもメディアもコストがかかります。
 メディアを自動的に交換してくれるライブラリやチェンジャの類もとても手が出ません。
 ハードディスクの場合は短期間の場合はいいのですが、数ヶ月以上保存したい場合には信用できません。RAIDでミラーしたり冗長化しておければマシにはなりますが、容量と台数が増えると管理や保守の手間が増え、やはり個人ではコスト的に合わなくなります。

 経験上、ハードディスクは数ヶ月とか使わないで放っておくと読めないファイルができていることがあります。
 ここからは僕の推測ですが、1度くらい読み込みに失敗してもリトライすることで読み込みに成功した場合には自動的に代替セクタと交換され、OSやユーザは不良セクタの存在には気がつきません。しかし、リトライを繰り返しても読めなかったセクタについては、勝手に交換して正常扱いするわけにはいかないので、エラーとしてOSやユーザに通知されます。
 こうして発生した不良セクタはハードディスク・メーカが公開しているプログラムを使ってローレベル・フォーマット(物理フォーマット)を行うことで、代替セクタと交換されエラーが直ることがあります。また、ローレベル・フォーマットまでしなくても、読み込みに失敗したセクタに、再度書き込みするとエラーが直ることがあります。不良セクタが発生したことでアプリケーションやユーザーが保存したデータが読めなかった場合にはハードディスクはエラーを通知しますが、新たにデータを書き込む場合は既存のデータはどうせ上書きされて消えてしまうわけですから、そのときに代替セクタと交換してしまえばエラーを通知する必要はありません。

 いずれにせよ、ハードディスクはどんな大事に保管していても、長期間アクセスしないで放っておくとデータが読めなくなる可能性が高いのです。
 その点では、紫外線などの影響を受けるとはいえ、保管にさえ注意していればCD-R/DVD-Rのほうがまだ信用できます。

 DVD-RAMは1枚では4.7Gバイトて容量的に心もとないのですが、ドライブもメディアもかなり安価に入手できますし、2〜4台でストライピングすれば容量は9〜18Gバイトのディスクとして使用できます。
 ATAPI内蔵型のドライブだと4台も内蔵するのはケースが問題になってきますが、外付ドライブを組み合わせても使えます。
 最近のDVD-RAMドライブはDVDマルチやDVDマルチプラスが主流ですから、DVD-R/RW、CD-R/RWとして利用できます。USBやIEEE1394での外付にしておければ、ストライピングが必要なときだけ、接続して使うことも可能です。

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