2004.05.07
Maxtor、Seagate、日立グローバルストレージテクノロジーズ(以降HGSTと表記します)の160〜300GクラスのIDEハードディスクが何台がそろったので、ベンチマークテストを行ってみました。
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- マザーボード GIGABYTE GA-8IPE1000 Pro2
- CPU Pentium 4 2.6CGHz
- RAM 512Mバイト
- OS Windows XP Professional
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テストに使用したハードディスクは、HGST Deskstar 7K250 HDS722516VLAT80、HGST Deskstar 7K250 HDS722516VLAT20、Maxtor DiamondMax Plus 9 6Y160P0、Maxtor MaXLine II 5A300J0、Seagate Barracuda 7200.7 ST3200822Aの5台です。
次の表は各ドライブの公表されている主なスペックです。
SPECIFICATION |
MODEL |
HDS722516 VLAT80 |
HDS722516 VLAT20 |
6Y160P0 |
ST3200822A |
5A300J0 |
Capacity |
160GB |
160GB |
160GB |
200GB |
300GB |
Max LBA |
321,672,960 |
321,672,960 |
320,173.056 |
390,721,968 |
585,940,320 |
Buffer size |
8MB |
2MB |
8MB |
8MB |
2MB |
Rotational speed |
7200rpm |
7200rpm |
7200rpm |
7200rpm |
5400rpm |
Track Density |
90ktpi |
90ktpi |
89ktpi |
98ktpi |
93ktpi |
Max Recording Density |
689kbpi |
689kbpi |
770ktpi |
671.5kbpi |
646kbpi |
Latency average |
4.17ms |
4.17ms |
4.18ms |
4.16ms |
5.55ms |
Max Media transfer rate |
757Mbps |
757Mbps |
803Mbps |
683Mbps |
336Mbps |
Interface transfer rate |
100MB/s |
100MB/s |
133MB/s |
100MB/s |
133MB/s |
Max Sustained data rate |
61.4MB/s |
61.4MB/s |
67MB/s |
58MB/s |
42MB/s |
Seek time Average |
8.5ms |
8.5ms |
9.3ms |
8.5ms |
10.0ms |
Seek Track to track |
1.1ms |
1.1ms |
0.9ms |
1.0ms |
1.0ms |
Seek Full track |
15.1ms |
15.1ms |
20.0ms |
----- |
24.0ms |
DevTest ベンチマークテスト
ベンチマーク テストは ソフトウェアライブラリ に登録しているDevTest を使いました。ただし、公開しているDevTestは書き込みテストは実行できません(書き込みテストを実行するとファイルシステムを破壊して危険ですので)。
以下がベンチマークテストの結果です。テストの内容等はDevTestのドキュメントを参考にしてください。
Hard Disk BENCHMARK |
TEST |
HGST HDS722516 VLAT80 |
HGST HDS722516 VLAT20 |
Maxtor 6Y160P0 |
Seagate ST3200822A |
Maxtor 5A300J0 |
Sequential Read/Start |
512B |
4204.3kB/s |
4942.5kB/s |
5538.0kB/s |
6362.2kB/s |
6101.2kB/s |
16384B |
61059.5kB/s |
61075.9kB/s |
59129.8kB/s |
59235.4kB/s |
46905.5kB/s |
65536B |
61101.3kB/s |
61108.6kB/s |
59215.4kB/s |
64465.5kB/s |
47185.9kB/s |
Sequential Read/End |
512B |
4190.0kB/s |
4931.2kB/s |
5524.8kB/s |
6236.8kB/s |
5842.6kB/s |
16384B |
32888.1kB/s |
32915.4kB/s |
33974.9kB/s |
37259.0kB/s |
30417.8kB/s |
65536B |
32884.5kB/s |
32899.0kB/s |
33954.9kB/s |
36955.0kB/s |
30823.7kB/s |
Sequential Read/Ave. |
512B |
4197.1kB/s |
4936.8kB/s |
5531.3kB/s |
6299.5kB/s |
5971.9kB/s |
16384B |
46973.8kB/s |
46995.6kB/s |
46552.3kB/s |
48247.2kB/s |
38661.7kB/s |
65536B |
46992.9kB/s |
47003.8kB/s |
46585.1kB/s |
50710.2kB/s |
39004.8kB/s |
Random Read |
512B |
40.7kB/s |
40.3kB/s |
37.3kB/s |
32.7kB/s |
33.7kB/s |
16384B |
1263.3kB/s |
1254.3kB/s |
1159.6kB/s |
1019.4kB/s |
1057.6kB/s |
65536B |
4644.8kB/s |
4652.5kB/s |
4332.6kB/s |
3873.8kB/s |
3925.1kB/s |
Sequential Write/Start |
512B |
2776.1kB/s |
3092.4kB/s |
3242.7kB/s |
2897.7kB/s |
3909.6kB/s |
16384B |
53011.3kB/s |
49233.9kB/s |
59135.3kB/s |
44305.9kB/s |
45944.3kB/s |
65536B |
54504.1kB/s |
48576.7kB/s |
59324.6kB/s |
57737.1kB/s |
46763.5kB/s |
Sequential Write/End |
512B |
2786.6kB/s |
3097.6kB/s |
4670.0kB/s |
3290.5kB/s |
4521.5kB/s |
16384B |
31617.4kB/s |
30139.2kB/s |
34850.5kB/s |
35094.5kB/s |
29835.2kB/s |
65536B |
31581.0kB/s |
29687.8kB/s |
34770.4kB/s |
35593.3kB/s |
30168.4kB/s |
Sequential Write/Ave. |
512B |
2781.3kB/s |
3095.0kB/s |
3956.4kB/s |
3094.6kB/s |
4215.6kB/s |
16384B |
42314.4kB/s |
39686.5kB/s |
46992.9kB/s |
39700.2kB/s |
37889.8kB/s |
65536B |
43042.5kB/s |
39132.2kB/s |
47047.5kB/s |
46665.2kB/s |
38466.0kB/s |
Random Write |
512B |
88.2kB/s |
87.6kB/s |
68.4kB/s |
56.2kB/s |
64.7kB/s |
16384B |
2590.4kB/s |
2255.9kB/s |
2024.3kB/s |
1767.6kB/s |
1636.5kB/s |
65536B |
6788.0kB/s |
5908.7kB/s |
7436.1kB/s |
6233.2kB/s |
3925.9kB/s |
下のグラフはシーケシャル リード/ライトの性能を見るために、Sequential Read/Start 65536B、Sequential Read/End 65536B、Sequential Write/Start 65536B、Sequential Write/End 65536B についてグラフ化したものです。
ランダム リード/ライト ベンチマークテスト
今回から新しくランダム リード/ライト テストという項目を作りました。
これまでのベンチマークはリードとライトを完全に分離していましたが、ユーザがOSやアプリを使う場合にはリード/ライト共に行われます。それで、ランダムにリード/ライトを行うテストを設けました。1回に転送するデータサイズも512〜65536Bの範囲でランダムに決まります。これを約10秒間実行して、リード/ライトそれぞれの転送速度(kB/s)と、実行回数(io/s)を測ります。
また、リード/ライトの比率を50:50、90:10、10:90の3パターンに分けて計測しています。
テストプログラムは前述のDevTestを改造したものですが、後日まとめてソフトウェア ライブラリに公開する予定です。ただし、データを非破壊には実行できないので(格納しているデータは上書きされる)、これまでの書き込みテスト同様に実行できないように制限した形での公開になるかと思います。
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2004.07.12 追記
ソフトウェアライブラリ にランダム リード/ライト ベンチマーク対応のDevTest ver.1.03a#01 を公開しました。
当初の予定通り、書き込みをと思うベンチマークの実行は制限しています。
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結果は下の表とグラフにまとめてあります。
Random Read/Write BENCHMARK |
TEST |
HGST HDS722516 VLAT80 |
HGST HDS722516 VLAT20 |
Maxtor 6Y160P0 |
Seagate ST3200822A |
Maxtor 5A300J0 |
50:50 |
Read Speed |
1439.2kB/s |
1166.3kB/s |
1398.1kB/s |
1169.2kB/s |
1185.0kB/s |
Write Speed |
1508.8kB/s |
1125.8kB/s |
1467.3kB/s |
1131.8kB/s |
1144.1kB/s |
Read Count |
44.3io/s |
36.0io/s |
43.0io/s |
36.0io/s |
36.3io/s |
Write Count |
46.3io/s |
34.7io/s |
45.0io/s |
34.7io/s |
35.0io/s |
90:10 |
Read Speed |
2192.3kB/s |
2229.2kB/s |
2004.0kB/s |
1878.8kB/s |
1905.4kB/s |
Write Speed |
193.0kB/s |
194.9kB/s |
178.9kB/s |
167.8kB/s |
167.8kB/s |
Read Count |
67.7io/s |
69.0io/s |
61.7io/s |
58.0io/s |
59.0io/s |
Write Count |
5.0io/s |
5.0io/s |
4.7io/s |
5.0io/s |
5.0io/s |
10:90 |
Read Speed |
324.3kB/s |
244.9kB/s |
294.7kB/s |
244.9kB/s |
232.2kB/s |
Write Speed |
3119.9kB/s |
2374.5kB/s |
2869.9kB/s |
2383.9kB/s |
2267.2kB/s |
Read Count |
10.0io/s |
7.0io/s |
9.0io/s |
7.0io/s |
7.0io/s |
Write Count |
96.0io/s |
73.3io/s |
88.7io/s |
73.3io/s |
70.0io/s |
HGST HDS722516VLAT80 / HDS722516VLAT20 … データバッファはランダムライトに効果
HDS722516VLAT80 と HDS722516VLAT20 は、バッファサイズが8M/2Mと異なるだけで、ドライブは同じです。ベンチマーク結果をみるとバッファサイズは読み込みにはほとんど影響していないことがわかります。書き込みについても、小さなデータサイズやランダム ライトでは8Mモデルのほうが速いようですが、大きなデータのシーケンシャルライトにはほとんど影響がありません。
比較的サイズの大きなデータファイルを保存する用途なら、安価な2Mモデルで十分ということになります。
一方、ランダム リード/ライト テストではバッファサイズの効果が出ています。
先ほど説明したように読み込みにはバッファの効果がほとんどないので、90対10で読み込みが多いケースでは、8Mモデルと2Mモデルの違いはほとんどありません。
しかし、50対50や10対90で書き込みが多いケースでは、バッファサイズの効果が出ています。このケースでは、バッファの大きい8Mモデルは書き込みだけでなく、読み込みも速くなっています。ランダム リード/ライト テストではバッファの効果で書込時のシーク回数が減れば、読込時のシーク回数も減るために、読み書き共に2Mモデルよりも速くなるようです。
頻繁なデータの読み書きを重視するなら、8MモデルのHDS722516VLAT80のほうが性能がいいということになります。
Maxtor 6Y160P0 … バランス良好、シーケンシャルライトも速い
Maxtor 6Y160P0は、今回テストしたドライブの中では、読み書きの性能のバランスが一番いいように思います。シーケンシャルにしろランダムしろトップの成績ではありませんが、そこそこの結果を出しています。
HGSTやSeagateのドライブはシーケンシャルライトが、リードと比較して遅い傾向がありますが、Maxtorドライブはリード/ライトの速度がほとんど同じです。このためシーケンシャルリードでは負けても、シーケンシャル ライトは逆転してトップの成績です。
ディスクの回転速度は一定ですからリードもライトも転送速度は同じになるはずですが、データサイズによってはトラックを移動(シーク)する必要があります。はっきりとした理由はわかりませんが、可能性は2つあってHGST/Seargateドライブは書込時にトラック移動のロスが大きいか、逆にMaxtorドライブのシーケンシャル リードが遅いか(HGST/Seagateドライブはシーケンシャル リード時のトラック移動ロスを軽減するなんらかの対策があり、Maxtorドライブにはそれがないという可能性もある)。
公表されているスペックを見ると6Y160P0はTrack to Trackのシークが0.9msと一番速いので、シーケンシャルライト時のトラック移動が優秀という可能性もありますが、記録密度や内部転送速度から見てシーケンシャルリードが遅いという可能性もやっぱりあります。
Maxtor 6Y160P0はどんな用途にも使えそうですが、特にシーケンシャル ライトが速いので大きなファイルを書き込む用途にはこのドライブが一番よさそうです。
Seagate ST3200822A … シーケンシャルアクセス向き
Seagate ST3200822Aは今回テストした中ではシーケンシャル アクセスは一番速い結果を出しています(シーケンシャル ライトはMaxtor 6Y160P0がトップですが)。
トラック密度が高いせいか、ランダムアクセスはHGST/Maxtorドライブと比較して少し遅いようです。ランダム リード/ライト テストでも、2MバッファのHDS722516VLAT20やMaxtor 5A300J0と同等の速度しかてでいません。ただし、容量が200GBと160GBのHDS722516VLAT8020/6Y160P0よりも大きいので、その点は考慮しておく必要があります。たとえば、20Gとか30Gバイトとか同容量のパーティションを作成してアクセスする場合、容量の大きなハードディスクのほうがシーク距離が短縮され、その分ランダムアクセスも有利になります。
このドライブはシーケンシャル アクセスが速いので、大きなテータを読み書きするなら、このドライブが一番かと思います。ランダムアクセスについてはバッファが8Mある割には遅い感じです。
Maxtor 5A300J0 … ニアライン ストレージ用
Maxtor 5A300J0はニアライン(Nearline)ストレージ(→関連記事)とか言われていて、普通のハードディスクとは位置付けからして異なります。回転数も5400rpmということもあり、7200rpmの他のドライブと比較してパフォーマンスも劣りますが、とにかく300GBと大容量ですし、MTTF(平均故障寿命)100万時間という他のドライブにない信頼性を確保しています。
Maxtorドライブの特徴かどうかしりませんが、シーケンシャル リード/ライトの速度がほとんど同じです。
ただ、ランダム リード/ライト テストを見ると、2MバッファのHDS722516VLAT20やST3200822Aと同程度の結果ですから、ランダムアクセスの多い普通のハードディスクとして使っても性能的には問題ないような気もします。バッファが2Mと少ないためランダム ライトは遅いようですが、読み込み主体なら問題なさそうな感じです。ST3200822Aのところで説明しましたが、容量の大きなハードディスクはパーティションを作成して、シーク距離を限定すればランダムアクセスによる速度低下を補えます。
まとめ
今回テストした中では、ランダムアクセスを重視するならHGST HDS722516VLAT80、シーケンシャル ライトとバランス重視ならMaxtor 6Y160P0、シーケンシャル アクセスならSeagate ST3200822A ということになるかと思います。
2MバッファのHDS722516VLAT20や、容量の大きなMaxtor 5A300J0、Seagate ST3200822Aはランダムアクセスが遅いので、データ保存用が最適かと思います。ただ、ランダムアクセスが遅いといっても、致命的に遅いわけではありません。他のドライブと比較したら遅いだけで、気にしなければ問題なく使えるはずです。
特に2MバッファのHDS722516VLAT20のランダムリード/ライト性能は、読み込みが主体なら8MバッファのHDS722516VLAT80とほとんど同じです。使い方によっては安価な2Mバッファモデルで十分ということもあるかと思います。
しかも、最近は動作音や発熱といった点を重視するユーザも多いので、速度だけでは決められません。
【関連記事】
→ 2004.01.03 SATA変換アダプタ ベンチマーク
→ 2003.09.11 160GB HDD & USB2.0外付ケースKP550U購入
… | Maxtor DiamondMax Plus 9 6Y160P0 |
→ 2004.01.31 300GB HD Maxtor MaxLine II 5A300J0
… | Maxtor MaxLine II 5A300J0 |
→ 2004.03.31 今月のアフターフォロー(2004-03)
→ 2004.04.30 今月のアフターフォロー(2004-04)
… | HGST HDS722516VLAT80, Seagate ST3200822A |
【参考資料】
○Maxtor
→http://www.maxtor.com/
○Seagate
→http://www.seagate.com/
○日立グローバルストレージテクノロジーズ
→http://www.hgst.com
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