複数のDVD-RAMドライブを使ってストライピング(RAID-0)して、大きなドライブとして使えるWindwos 2000/XP用ソフトウェアRAIDドライバMD4Ramが動くようになりました。
以前からDVD-RAMのストライピングはLinuxでやっていて(→ 関連記事-1、→ 関連記事-2)、実際にバックアップ用に使っていますが、これをWindows環境でも実現したいということで作ってみました。まだ、ベータ版ですが興味があれば掲示板(→BBS)に登録しているので見てください。
それで、MD4RamによるDVD-RAM RAIDストレージを活用するために、新たにDVD-RAMドライブを調達することにしました。
2倍速DVD-RAM対応ならPanasonic 4台(LF-D200JD×2, SW-9571, LF-M721JD)、日立LG 4台(GMA-4020B, GSA-4040B, GSA-4120B×2)があるのですが、5倍M速DVD-RAM対応となるとPanasonic 1台(LF-M721JD)、日立LG 2台(GSA-4120B×2)と減ってしまいます。
ここのところDVD-RAMは5倍速(カートリッジなし)しか買っていないので当面はこの5倍速を中心に使うつもりですが、手元には2倍速DVD-RAM時代にカートリッジ・メディアが残っています。そのため、カートリッジ対応ドライブも必要です。となると、Paansonic製ドライブしか選択肢はないのですが、今のところこれはLF-M721JDが1台しかありません。
ということで、カートリッジ対応5倍速DVD-RAMドライブを調達することに決めましたが、RAIDするには同型ドライブのほうが何かと都合がいいので、そうするとLF-M721JDになります。しかし、ちょうど新型のLF-M821JDが登場しました。
同型のLF-M721JDにするか、新型のLF-M821JDにするか、悩みましたが、こういうときの原則は迷ったときは両方買うです。
| Panasonic LF-M821JD |
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もちろん、予算に余裕がある場合だけですけど、このくらいなら両方を手を出してもなんとでもなります(もっといえば、RAID用にもっと増やすかもしれません)。
まぁ、買わずに後悔するより買って後悔しろというのもありますし。
それで、LF-M821JDでの5倍速DVD-RAMのベンチマークだけひととおりやってました。今回は時間もないし5倍速DVD-RAMだけです。テスト環境は表のとおりです。比較のため以前にテスト(→ 関連記事-1、→ 関連記事-2)したLF-M721JDとGSA-4120Bでの結果を載せています。今回のLF-M821JDとはテスト環境は異なりますが、参考にはなると思います。
- マザーボード ASUS A8V-E Deluxe NW (BIOS 1006)
- CPU AMD Athlon 64 3500+
- RAM 1Gバイト
- OS Windows XP Professional SP2
- オンボードIDE/ATAコントローラ VIA VT8237R
- ドライバ Microsoft 5.1.2600.0
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ベンチマーク テストは ソフトウェアライブラリ に登録しているDevTest ver.1.04a02を使いました。ただし、公開しているDevTestは書き込みテストは実行できません(書き込みテストを実行するとファイルシステムを破壊して危険ですので)。
結果を見る限り、5倍速DVD-RAM使用時のLF-M821JDの性能は前モデルLF-M721JDとまったく同じです。
まず、下のグラフは4.7G全領域をリード/ライトしたときの転送速度です。
2005.08.02 追記/修正
最初、書き込み速度が1.5倍速程度しか出ませんでした。茶色のWrite(1)がそうです。
以前、LF-M721JDでテストしたときもこの現象が発生して(→ 関連記事)、転送サイズの違いで起るのではないかと推測したのですが、もう一回実行すると、赤色のWrite(2)のように、まともな速度になりました。
どうやら、一度も書き込みしたことのないバージンメディアを使うと書き込みが遅くなるようです。ちなみに、使用メディアは三菱化学メディアのPCデータ用5倍速DVD-RAMですが、DevTestでメディア情報を表示するとMXL16の文字があるので製造は日立マクセルかと思います。
LF-M721JDのときは使用後のメディアでも遅くなったのですが、他ドライブ(GSA-4120B)で書き込みしたメディアを使うと遅くなるのかもしれません(テストすればはっきりすると思いますが、今回は時間がないのでまたの機会に)。
書き込みが遅くなってしまうのは、書き込みからベリファイによる読み取りを行なう間に、余分な回転が入ってしまうためと思われます。
通常なら1回転目で書き込み、2回転目で読み取り(ベリファイ)を行い、トータルでは2回転することで書き込み速度は2分の1になります。しかし、処理が間に合わずに余分に回転してしまうと、トータルでは3回転することになり書き込み速度が3分の1まで低下してしまいます。5倍速の3分の1というと1.66倍速ですから、これまでの計測結果からも一致します。
また、書き込みとベリファイの間だけでなく、次の書き込みを行なう間にも回転が入るはずです。
問題は、同じ条件で実行しても1.66倍速まで落ちる場合と、そうでない場合があることです。
これは、メディアやドライブの状態、OSやインターフェース、転送速度等、色々な条件が絡んできます。微妙なところで2回転で間に合う場合と、無駄な回転が入り3回転してしまう場合が出てしまっているようです。
最終的にはドライブ自体の処理速度が上がらないことには解決しないと思います。
下の表とグラフはいつものDevTestでのテスト結果です。
DEVTEST BENCHMARK |
TEST |
LF-M821JD |
LF-M721JD |
GSA-4120B |
Test Unit Ready command |
0.2 ms |
0.2 ms (100.0%) |
1.6 ms ( 12.5%) |
No Motion Seek command |
15.6 ms |
15.6 ms (100.0%) |
15.8 ms ( 98.7%) |
Average latency Timed |
29.5 ms |
36.9 ms ( 79.9%) |
36.7 ms ( 80.4%) |
Sequential Seek |
15.6 ms |
15.6 ms (100.0%) |
15.7 ms ( 99.4%) |
Random Seek |
198.1 ms |
190.1 ms (104.2%) |
117.6 ms (168.5%) |
Sequential Read/Start |
2048B |
1160.4 kB/s |
1106.3 kB/s ( 95.3%) |
896.5 kB/s ( 77.3%) |
16384B |
6846.3 kB/s |
6777.4 kB/s ( 99.0%) |
3994.0 kB/s ( 58.3%) |
65536B |
6780.8 kB/s |
6742.9 kB/s ( 99.4%) |
4121.4 kB/s ( 60.8%) |
Sequential Read/ 50% |
2048B |
1167.1 kB/s |
969.3 kB/s ( 83.1%) |
701.7 kB/s ( 60.1%) |
16384B |
6861.1 kB/s |
6804.8 kB/s ( 99.2%) |
5951.0 kB/s ( 86.7%) |
65536B |
6835.4 kB/s |
6757.5 kB/s ( 98.9%) |
6837.5 kB/s (100.0%) |
Sequential Read/End |
2048B |
1192.5 kB/s |
1133.6 kB/s ( 95.1%) |
713.6 kB/s ( 59.8%) |
16384B |
6881.3 kB/s |
6762.9 kB/s ( 98.3%) |
4729.5 kB/s ( 68.7%) |
65536B |
6807.0 kB/s |
6750.2 kB/s ( 99.2%) |
6830.2 kB/s (100.3%) |
Sequential Read/Ave. |
2048B |
1173.3 kB/s |
1069.8 kB/s ( 91.2%) |
770.6 kB/s ( 65.7%) |
16384B |
6862.9 kB/s |
6781.7 kB/s ( 98.8%) |
4891.5 kB/s ( 71.3%) |
65536B |
6807.7 kB/s |
6750.1 kB/s ( 99.2%) |
5929.7 kB/s ( 87.1%) |
Random Read |
2048B |
6.1 kB/s |
6.2 kB/s (101.6%) |
13.9 kB/s (227.9%) |
16384B |
52.2 kB/s |
86.0 kB/s (164.8%) |
180.1 kB/s (345.0%) |
65536B |
198.5 kB/s |
222.3 kB/s (112.0%) |
421.5 kB/s (212.3%) |
Sequential Write/Start |
2048B |
1004.1 kB/s |
490.6 kB/s ( 48.9%) |
558.4 kB/s ( 55.6%) |
16384B |
2730.0 kB/s |
2444.8 kB/s ( 89.6%) |
1905.3 kB/s ( 69.8%) |
65536B |
2819.7 kB/s |
2761.4 kB/s ( 97.9%) |
2054.4 kB/s ( 72.9%) |
Sequential Write/ 50% |
2048B |
1055.8 kB/s |
859.2 kB/s ( 81.4%) |
648.5 kB/s ( 61.4%) |
16384B |
2837.5 kB/s |
2718.5 kB/s ( 95.8%) |
2015.1 kB/s ( 71.0%) |
65536B |
2942.6 kB/s |
2817.1 kB/s ( 95.7%) |
3069.1 kB/s (104.3%) |
Sequential Write/End |
2048B |
1087.8 kB/s |
956.8 kB/s ( 88.0%) |
626.2 kB/s ( 57.6%) |
16384B |
2798.3 kB/s |
2656.6 kB/s ( 94.9%) |
1838.6 kB/s ( 65.7%) |
65536B |
2925.1 kB/s |
2693.8 kB/s ( 92.1%) |
1949.5 kB/s ( 66.6%) |
Sequential Write/Ave. |
2048B |
1049.2 kB/s |
768.9 kB/s ( 73.3%) |
611.0 kB/s ( 58.2%) |
16384B |
2788.6 kB/s |
2606.6 kB/s ( 93.5%) |
1919.7 kB/s ( 68.8%) |
65536B |
2895.8 kB/s |
2757.5 kB/s ( 95.2%) |
2357.6 kB/s ( 81.4%) |
Random Write |
2048B |
17.7 kB/s |
25.8 kB/s (145.8%) |
24.7 kB/s (139.5%) |
16384B |
64.8 kB/s |
86.2 kB/s (133.0%) |
107.4 kB/s (165.7%) |
65536B |
147.8 kB/s |
233.1 kB/s (157.7%) |
217.7 kB/s (147.3%) |
今回はランダム リード/ライト テストの結果も載せています。
Random Read/Write BENCHMARK |
TEST |
LF-M821JD |
LF-M721JD |
GSA-4120B |
50:50 |
Read Speed |
37.8 kB/s |
40.9 kB/s (108.2%) |
59.3 kB/s (156.9%) |
Write Speed |
37.8 kB/s |
39.4 kB/s (104.2%) |
66.0 kB/s (174.6%) |
Read Count |
1.0 io/s |
1.0 io/s (100.0%) |
1.0 io/s (100.0%) |
Write Count |
1.0 io/s |
1.0 io/s (100.0%) |
1.3 io/s (130.0%) |
90:10 |
Read Speed |
101.6 kB/s |
104.5 kB/s (102.9%) |
164.1 kB/s (161.5%) |
Write Speed |
12.5 kB/s |
12.7 kB/s (101.6%) |
15.0 kB/s (120.0%) |
Read Count |
2.7 io/s |
3.0 io/s (111.1%) |
4.0 io/s (148.1%) |
Write Count |
0.0 io/s |
0.0 io/s (-----%) |
0.0 io/s (-----%) |
10:90 |
Read Speed |
11.8 kB/s |
11.6 kB/s ( 98.3%) |
13.1 kB/s (111.0%) |
Write Speed |
80.3 kB/s |
80.2 kB/s ( 99.9%) |
85.6 kB/s (106.6%) |
Read Count |
0.0 io/s |
0.0 io/s (-----%) |
0.0 io/s (-----%) |
Write Count |
2.0 io/s |
2.0 io/s (100.0%) |
2.0 io/s (100.0%) |
ランダム系テストはDVD-RAMに対して実行すると悲惨なことになるのでいつもは掲載していません。あまりに遅すぎてテストが完了しないこともありますが、5倍速DVD-RAMに限定すればなんとかなりました(それでも、I/Oコマンド数は1秒に1回も実行できずに、ゼロになってしまっています)。
これを見るとわかると思いますが、ランダムアクセス性能は日立LG GSA-4120Bのほうが上です。以前LF-M721JDのテストをしたときにも書きましたがアクセス方式の違いから当然の結果です。
Panasonicドライブはフル5倍速のZCLVですが、日立LGドライブはPCAVです。日立LGドライブは3倍速から始まり徐々に速度アップして5倍速に達します。この5倍速に達していない部分は、回転速度が固定できるために、ランダムアクセスには有利に働きます。
シーケンシャルアクセスではPanasonicドライブのほうが速いのは確実ですが、書き込みについてはシーケンシャルでは遅いはずの日立LGドライブが互角に持ち込んでいます。これは、ベリファイを行なうロスタイムが日立LGドライフのほうが少なくて、追いついているのだと思います。
総合評価では5倍速DVD-RAM使用時の性能は日立LGドライブのほうが上のような気もしますが、カートリッジを使うためにはPanasonicドライブしかありません。
ついでにハードディスクをHGST(日立グローバルストレージテクノロジーズ) Deskstar T7K250 HDT722525DLAT80(250Gバイト, 8MBキャッシュ, ATA/133, 7200rpm) と、Maxtor DiamondMax 10 6L250R0(250Gバイト, 16MBキャッシュ, ATA/133, 7200rpm)を1台づつ買っておきました。
HGSTのハードディスクはSerialATA対応版を先月2台買ってテスト(→関連記事)しましたが、今回のは同型のParallel ATA版です。
Maxtorの6L250R0もキャッシュが16MBあるので、どういった効果があるのか興味ありますが、今はMD4Ramのほうで手一杯ですので、ベンチマークは後になりそうです。
【参考資料】
○Panasonic
→http://www.panasonic.jp/
○日立グローバルストレージテクノロジーズ
→http://www.hitachigst.com/
○Maxtor
→http://www.maxtor.com/
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