GSA-4040B PacketWrite -- GSA-4040B パケットライト
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2003.08.13

 日立LG製DVDマルチ プラス ドライブGSA-4040Bを採用したI・O DATA DVR-ABH4を購入(関連記事)したので、パケットライトを使ったDVD-RW/DVD+RWに関するテストを行ってみました。

 CD-R/RW時代のパケットライトは、ほとんど使ったことはなかったのですが、DVD-RW/DVD+RWが使えるドライブが使えるようになったので試してみることにしました。

【関連】
GSA-4040B DVD-RAMベンチマーク

B'sCLIP5について

 今回は比較的小さなファイルをたくさん書き込むときに、どのくらいの速度が出るのか試してみることにしました。
 大きなファイルを書き込むのはドライブの書き込み速度がほぼそのまま出るだろうし、通常のCD/DVD作成ソフトを使ってもたいした手間はかからないだろうという判断からです。

 前回、DVD-RAMのテストでは Windows 2000 のセットアップファイル5510ファイル/96ディレクトリ/サイズ約332Mバイトをコピーしましたが、これと同じことをやってみました。
 パケットライト書き込みソフトはドライブに添付されていたB.H.AB'sCLIP5 を使いました。

 DVD-RAMをUDF2.0フォーマットで計測したときは3倍速で4分37秒、2倍速で5分32秒なんですが、2.4倍速のDVD+RWで41分27秒とDVD-RAMの7〜9倍も遅いし、2倍速のDVD-RWにいたっては9時間14分51秒ととてつもない遅さです(我ながらよく9時間も待ったもんだ…)
 どうも、B'sCLIPは同一ディレクトリに数百と比較的たくさんのファイルを格納していると、ファイルを書き込むのに時間がかかるようです。B'sRecorder GOLDでも、同一ディレクトリにたくさんのファイルがあると書き込みファイルを登録するのにかなり時間がかかりますので、根本的なアルゴリズムに問題があるのだと思います。
 それにしたって通常なら5分程度で終わる処理に9時間もかかっていたのでは話になりません。

ファイル書込/読込/削除

 そのうちB'sCLIP5以外のパケットライト書き込みソフトも調達してこようと思いますが、とりあえずテストプログラムを作成しました。

 これまでのファイルコピーによるテストだとハードディスクの速度にも影響を受けるので、ハードデイスクを使わずにファイルを作成するプログラムを作成しました。そのプログラムを使って 2071ファイル、サイズ 100M(104,857,600)バイトのファイルを作成して、その速度を計測します。B'sCLIP5が同一ディレクトリにファイルがたくさんあると遅くなるので、ディレクトリ上には100個以上のファイルは置かないように適当にディレクトリを作成しながら、ファイルを作成しています。ついでに、生成したファイルの読み込み速度と、ファイルを削除する速度も計測しています。
 テストプログラムfcvは仮に掲示板(BBS)に登録しておきます。

 使用したディスク/メディアはDVD-RAM 2x、DVD-RAM 3x、DVD-RW 2x、DVD+RW 2.4x、CD-RW 10x です。DVD-RAM は B'sCLIP5ではありませんが、比較のため計測しています。
 また、B'sCLIP5 は安全モードという、書き込み後にデータの比較を行う動作モードがあり、この動作モードでもテストを行っています。DVD-RAMではハードウェアがベリファイとして検証作業を行っていますが、安全モードはそれをソフトウェアでやっているようなものです。

 その結果が下の表です。
 書き込み(Write)と読み込み(Read)については処理が完了するまでの時間と転送速度を。削除(Delete)については時間を掲載しています。「(safe)」というテストは B'sCLIP5での安全モードを選択した場合です。

TEST DRIVE & DISC Write Read Delete
time (sec) speed (kB/s) time (sec) speed (kB/s) time (sec)
DVD-RAM 3x UDF 2.0 76 1388.8kB/s 26 4033.0kB/s 12
DVD-RAM 3x UDF 1.5 76 1388.8kB/s 26 4033.0kB/s 12
DVD-RAM 3x FAT32 153 687.6kB/s 14 7489.8kB/s 9
DVD-RAM 2x UDF 2.0 97 1081.0kB/s 39 2688.7kB/s 12
DVD-RAM 2x UDF 1.5 102 1028.0kB/s 39 2688.7kB/s 12
DVD-RAM 2x FAT32 201 687.6kB/s 15 6990.5kB/s 9
DVD-RW 2x 119 884.9kB/s 71 1476.9kB/s 166
DVD-RW 2x (safe) 173 606.1kB/s 70 1508.7kB/s 170
DVD+RW 2.4x 56 1889.3kB/s 35 3039.4kB/s 2
DVD+RW 2.4x (safe) 118 852.5kB/s 32 3276.8kB/s 2
CD-RW 10x 75 1407.5kB/s 72 1466.5kB/s 2
CD-RW 10x (safe) 189 556.3kB/s 60 1747.6kB/s 2
HardDisk 13 8388.6kB/s 3 34952.5kB/s 1

 下のグラフは、DVD-RAM/DVD-RW/DVD+RW/CD-RWの読み書きの転送速度をグラフにしたものです。
 DVD-RAMについてはUDF1.5とUDF2.0ではほとんど差がないのでUDF1.5だけを取り上げました。DVD-RAMでのFAT32や、ハードディスクについては他とは値が大きく異なるので、グラフからは除外しています。

GSA-4040B GRAPH(3)

DVD-RAMについて

 DVD-RAMについては書き込み時にハードウェアによるベリファイが自動的に行われるので速度は遅くなりますが、読み込みは3倍速DVD-RAM 4033kバイト/秒、2倍速DVD-RAM 2688.7kバイト/秒とほぼスペックどおりの速度が出ています。
  FAT32では書き込み速度はUDF1.5/2.0の半分程度の速度ですが、読み込みについては3倍速DVD-RAMで7489.8kバイト/秒、2倍速DVD-RAMで6990.5kバイト/秒と、スペック以上の速度がでています。これは明らかにOSのキャッシュの効果だと思います。
 前回は書き込み速度が遅いのでFAT32を使う理由はないと書きましたが、比較的小さなファイルがたくさんあって読み込み専用で使うような用途だとFAT32も悪くないような気がします。

2003.08.14 追記

 ひとつ見落としていましたが、ファイルを書き込んだ順番に読み込みを行っていますから、小さなファイルがたくさんあってもシーケンシャルリードに近い状態でアクセスで出来ているのだと思います。

DVD-RWについて

 DVD-RWについては読み書きともに一番遅くなっています。DVD-RAMと違ってベリファイしているわけでもないのに、書き込みも2倍速DVD-RAMよりも遅くなっています。
 特にひどいのがファイルの削除で他のメディアは数秒から十数秒程度で終わっているのに、DVD-RWは書き込み速度よりも遅くて166秒もかかっています。
 しかも、削除後に2分間ほどディスクにアクセスできない状態になります。

DVD+RWについて

 DVD+RWについては、2.4倍速とベリファイなしという仕様のため、書き込み速度は1889.3kバイト/秒とDVDの中では一番速い結果が出ています。
 しかし、読み込みまで含めると3倍速DVD-RAMのほうが速いようです。
 ファイルの削除は1〜2秒で終わってしまいますが、削除後に20〜30秒ほどディスクにアクセスできない状態となります。おそらく、この20〜30秒の間に実際に削除を行っているのだと思います。

CD-RWについて

 CD-RWはついでに試しただけなのですが、読み書きともに1400kバイト/秒程度の転送速度が出ていてなかなか優秀です。
 今回は10倍速対応CD-RWを使いましたが、1400kバイト/秒というと9.3倍速ですから、ほぼスペックどおりの速度が出ています(ドライブは16倍速のCD-RWまで対応しているようですが、10倍速対応メディアしか用意できなかったので)
 ファイルの削除はDVD+RWと同じで1〜2秒で終わってしまいますが、削除後に20〜30秒ほどディスクにアクセスできない状態となります。

パケットライトについて

 DVD-RWの結果が不自然に遅いのがよくわからないのですが、今度他のパケットライト書き込みソフトでもテストしてみようと思います。
 とにかく B'sCLIP5 は同一ディレクリトにファイルをたくさん置くと書き込みがかなり遅くなり、今回は最大で100個までと制限したとはいえ、まだ影響はありそうです。
 実際、他のパケットライト書き込みソフト(DirectCD/InstantWrite)も少しだけ使ってみましたが、そちらではB'sCLIP5のように不自然に遅くなることはないようです。

 しかし、複数のパケットライト書き込みソフトのインストールとアンイントールを繰り返していると、システムが不安定になりやすいようです。

 どのソフトでも、他のパケットライト書き込みソフトと同時には使えないという注意はあるのですが、アンインストールしてもドライバが完全には消えてくれないことがあるようです。
 実際、他のドライバが制御をうばってしまって書き込みできなかったり、挙句の果てにブルーバック・スクリーンでOSごと落ちてしまうこともありました。
 体験版とかダウンロードできるので色々と試してみようとは思ったものの、システムをクリーンにしてからインストールしないと安心できないので、面倒臭くてやってられません。
 何にしろパケットライト書き込みソフトは一度これを使うと決めたらあまり入れ替えないほうがよさそうです。

 パケットライト書き込みソフトは、たいていCD/DVD作成ソフトについてくるのですが、ちょっと調べてみたところ、

  • Aplix PackatMan
  • B.H.A B'sCLIP
  • Nero inCD
  • Roxio Drag-to-Disk
  • Stomp DLA
  • VOB InstantWrite
といったソフトがあるようです。
 互換性はUDF1.5ならありそうな気もしますが、試してみないことにはわかりませんし、どのソフトも保証はしていないはずです。
 読み込みについてはUDFを使うことで最近のWindowsならまず問題ありませんが、書き込みについては同じパケットライト書き込みソフトを使っていないとできないことがあります。

 とにかくCD-R/CD-RW/CD-MRW/DVD-R/DVD-RW/DVD+R/DVD+RWと取り扱うメディアの種類が多く、フォーマットや状態によって取り出し方とかROM互換変換とか制限事項があります。設定によってすべて自動的に処理させることも可能かもしれませんが、なにもかもオートに任せるとそれでそれで余計なトラブルを生みます。たとえばCD-R/DVD-Rをセットしたら、パケットライト用に自動的にフォーマットされてしまうとかありそうです。

 また、パケットライト書き込みソフトが動作していると、通常のCD/DVD作成ソフトでメディアを認識しないとか、書き込めないとかもありそうです。同じメーカーのパケットライト書き込みソフトとCD/DVD作成ソフトなら問題ないと思いますが、CD/DVD作成ソフトの起動と、メディアをセットする順番によって、使えたり使えなかったり、面倒臭いこともあるようです。

 パケットライトで記録したメディアを普通のCD/DVD作成ソフトで使ったり、逆にCD/DVD作成ソフトで記録したメデイアをパケットライトで使う場合には、メディアの消去や物理フォーマットが必要となり、これもまたけっこう時間がかかって面倒です。
 最近のDVD+RWやDVD-RWだとバックグラウンドで物理フォーマット(DVD+RWはドライブが勝手にするのにパソコン側には負担はない)するので見かけ上は1〜2分で処理は終わり、フォーマットしている最中でも読み込みやメディアの出し入にも特に制限はないようです。しかし、物理フォーマットが未完了の状態で書き込み速度には影響はないのか、とかいった疑問もあります。

書き換回数1000回は十分か

 それに、1000回程度の書き換え回数では従来のリムーバブルディスク、たとえばMOのように使うには不安があります。
 ファイルのコピーのように単純なファイルの出し入れしかしないのなら1000回で十分だと思いますが、ファイルを上書きするような用途だと1000回とかあっという間に使ってしまいそうです。
 ワードとかエクセルようなドキュメントデータを上書きする場合は、古いファイルは残したまま新しいファイルとして保存し、その後古いファイルを削除するので大丈夫だと思いますが、問題はデータベースのように部分的にファイル内容を書き換えるアプリケーションです。
 たとえば、画像ファイルにサムネイルとして縮小画像を登録したデータベースを作ることがありますが、データベースのようにレコード単位にファイルを更新していると1000回程度で大丈夫なのか不安です。
 更新のアルゴリズムによっては回避できるような気もしますが、その場合ファイル全体を保存し直すか、更新のある部分を別のセクタに割り当てるかすることになります。前者だと無駄にファイル全体を書き換えるので遅くなるし、後者だと更新するたびにセクタを飛ばしてると断片化がすごいことになりそうです。
 しかし、ファイルシステムそのものがデータベースのようなものですからファイルの移動やリネームを行うとそれだけで書き換えカウントを消費していきます。

 DVD-RAMのように不良セクタを確実に交換してくれれば大丈夫とは思いますが、今のパケットライト書き込みソフトがそこまでやってくれているのかどうかわかりません。
 B'sCLIP5の安全モードでは少なくとも正しく書き込みが行われたかチェックしているのでしょうが、そうでない場合はそもそも書き込みが正常に終了したかチェックできないていないことになります。後から読み込んだときにエラーに気がついてセクタ交換しても、そのときにはデータは消失してしまっているので元には戻りません。
 不良セクタの交換は書き込んだ元データが残っている状態で行わないと、データの回復はできないのです。

まとめ

 パケットライトについては、とにかく標準となるアプリケーションが定まらないことにはシステムの安定や、互換性の面で不安があります。OSがサポートするのならそれが一番確実ですけど、2004年後半以降に登場すると言われている次期Windows(Longhorn)まで待たなければなりません。不良セクタを交換するディフェクト処理についてはもMt.Rainier対応ドライブと次期Windowsでは確実に対応してきそうですし。

 正直、DVD-RAMが使えるならパケットライトは必要ないような気がします。互換性は低くてもドライブさえ対応していれば扱いはDVD-RAMのほうがシンプルで確実です。
 DVD-RAMの書き換え回数は10万回ですから、1000回のDVD-RW/DVD+RWと違って、気にする必要もありません。
 DVD-RAMの場合、PanasonicとそのOEM製ドライバが事実上標準になっているので、ドライバが競合することはありませんし、ドライバが同じなら互換性も問題ありません。
 書き込みが多少遅くても、ベリファイでその分信頼性を確保していると思えば、そう気になりません。

【関連記事】

 以下のページでもDVD-RAMドライブに関するベンチマークテストを行っています。
 テスト環境が異なるので今回のテストとは直接比較はできませんが、参考にしてください。

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  この記事へのコメント
2004-03-29
13:09:34
taro DirectCDやDrag-to-Discの結果は掲示板(2003年8月頃)に書いてます
2006-12-27
21:35:57
菊池善 非常に参考になりました。2006年版 UP DATE をして頂ければ更に素晴らしい と思います。

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