2004.06.20
日立LG製DVDスーパー マルチ ドライブGSA-4120Bを購入したので(→関連記事)、DVD-RAMやパケットライト(InCD)を使ったファイルの読み書きの速度を調べてみました。
【関連】
→ GSA-4120B 5倍速DVD-RAMベンチマーク
→ LF-M721JD 5倍速DVD-RAMベンチマーク
→ LF-M721JD 5倍速DVD-RAM (2)
→ GSA-4040B DVD-RAMベンチマーク
→ GSA-4040B パケットライト
前回のDevTestによるベンチマークでDVD-RAMドライブの性能はある程度わかったので、今回はファイルの読み書きの速度を調べました。
比較的サイズの大きなファイル(数10M〜100M以上)の読み書きはシーケンシャルアクセスの性能で決まるので、DevTestの結果で予想がつきます。しかし、小さなファイルをたくさん読み書きするとランダムアクセス性能とドライバの影響があるので、実際に試してみないとわかりません。
今回は比較的サイズの小さなファイルをたくさん読み書きして、処理にかかった時間を計ります。
このテストは別のDVD-RAMドライブでも行っていますのでテスト内容については、そちらの記事(→ 関連記事-1、→ 関連記事-2)を見てください。
前回UJ-820のテスト時はファイルサイズの総計が1Gバイトまでという範囲で調べましたが、PCAV方式の5倍速DVD-RAMは3倍速から始まるのである程度容量を使わないと最大速度に達しません。そこで、今回はファイルサイズの総計を4Gバイトまで増やしました。セクタサイズやクラスタサイズによるファイルの格納効率から考えても、DVDの容量をフルに使っているといえます。
簡単に説明すると、総計4Gバイトの7万8366個のファイルを作成(書き込み)した時間、それをすべて読み込む時間、削除した時間を計測します。
DVD-RAMドライバはこれまでずっとB.H.A/松下製を使っていたので、これを使っていますが、今回購入したGSA-4120BにはDVD-RAMドライバとしてAhead Software InCD4 (Version 4.2.4.1)が添付されていましたので、これも使いました。
また、InCDはもともとパケットライトを使ったCD/DVD書き込みソフトですので、4倍速DVD+RWと、4倍速DVD−RWでもテストしました。
DVD-RAMは2倍速/3倍速/5倍速のメディアを、UDF2.0とFAT32でのフォーマットで調べています。B.H.A/松下ドライバではUDF1.5も利用できますが、これまでの結果からするとUDF1.5とUDF2.0には性能差はほとんどないのでUDF2.0のみ調べています。
InCDでは2倍速/5倍速DVD-RAMと、4倍速DVD+RW、4倍速DVD−RWについて調べました。InCDでは使用するメディアによってUDF 1.02/1.50/2.00/2.01/2.50等がフォーマットが利用できますが、すべてUDF 2.00を使いました。
あと、比較参考として160GバイトIDEハードディスク(HGST Deskstar 7K250 HDS722516VLAT80)とNTFSでも同じテストを行いました。ハードディスクはATA100接続した場合と、USB2.0接続(RATOC U2-DK1使用)したものと2パターン調べました。
下の表がその結果です。
TEST DRIVE FORMAT |
Write |
Read |
Delete |
time |
speed (kB/s) |
time |
speed (kB/s) |
time |
DVD-RAM 5x |
UDF2.0 |
32分17秒 |
2065.2kB/s |
18分51秒 |
3537.0kB/s |
14分20秒 |
FAT32 |
94分47秒 |
703.4kB/s |
15分47秒 |
4224.2kB/s |
7分24秒 |
DVD-RAM 3x |
UDF2.0 |
44分46秒 |
1489.3kB/s |
22分41秒 |
2939.2kB/s |
17分04秒 |
FAT32 |
116分48秒 |
570.8kB/s |
17分44秒 |
3759.7kB/s |
6分51秒 |
DVD-RAM 2x |
UDF2.0 |
68分38秒 |
971.4kB/s |
32分17秒 |
2065.2kB/s |
20分28秒 |
FAT32 |
172分43秒 |
386.0kB/s |
25分35秒 |
2606.1kB/s |
6分50秒 |
InCD DVD-RAM 5x |
UDF2.0 |
27分22秒 |
2436.2kB/s |
25分58秒 |
2567.6kB/s |
33分31秒 |
InCD DVD-RAM 3x |
UDF2.0 |
47分17秒 |
1410.1kB/s |
25分35秒 |
2606.1kB/s |
37分52秒 |
InCD DVD+RW 4x |
UDF2.0 |
32分53秒 |
2027.5kB/s |
27分32秒 |
2421.5kB/s |
13分08秒 |
InCD DVD-RW 4x |
UDF2.0 |
26分23秒 |
2527.0kB/s |
44分00秒 |
1515.3kB/s |
17分35秒 |
ATA100 HARD DISK |
NTFS |
5分43秒 |
11662.7kB/s |
4分41秒 |
14236.0kB/s |
1分29秒 |
USB2.0 HARD DISK |
NTFS |
8分07秒 |
8214.2kB/s |
6分44秒 |
9901.8kB/s |
2分16秒 |
次のグラフはテスト結果の読込速度(Read)と、書込速度(Write)をグラフにしたものです。ハードディスクについては、他とは速度が大きくことなるので除いています。
DVD-RAMについて
UDF2.0で4Gバイト書込するのに2倍速DVD-RAMで68分、3倍速DVD-RAMでも44分かかっていましたが、5倍速DVD-RAMでは32分程度まで短縮されています。
シーケンシャルで30〜60MB/秒の速度がでるハードディスクで5〜8分の時間がかかっていることを思えば、その10分の1以下の実質3MB/秒(DVD 2.2倍速)程度の5倍速DVD-RAMが32分という結果はがんばっているほうだと思います。
また、InCDと5倍速DVD-RAMとの組み合わせの書込速度は4倍速DVD±RWよりも速いようです。DVD-RAMは書込時にベリファイが行われるため、実質的な書込速度は2.5倍以下となり、4倍速DVD±RWよりも遅いはずですが、小さなファイルの読み書きではDVD-RAMのほうが有利なようです。
FAT32について
これまでも何度か書いていますが、特別な理由がない限りDVD-RAMではFAT32は使うべきではないと思います。
UDF2.0と比較するとFAT32の読込は速いのですけど、書込は2〜3倍の時間がかかっています。ファイルは書き込みしないことには読みようがないので、FAT32の読込速度を生かすためには、UDFの半分以下の書込速度に耐える必要があります。
ただし、比較的サイズの大きなファイルしか保存するなら、UDFとFAT32の書込速度はほとんどかわりません。
FAT32にはWindows XPでドライバの追加なしにDVD-RAMが使えるというメリットはあります。
また、UDFでは同一フォルダ/ディレクトリに何百〜何千個とかたくさんのファイルがあると、エクスプローラやマイコンピュータの表示が遅くなる傾向があります。そういった環境でファイル操作(複写/移動/削除)する場合はUDFよりFAT32のほうが快適かもしれません。
しか、UDFの2〜3倍の書込時間に耐えてまでFAT32を使うことはないと思います。
InCDについて
5倍速DVD-RAMをInCDを使って書き込みした4分22秒と、B.H.A/松下ドライバの32分17秒よりも5分程度速いようです。
しかし、読み込みについてはInCDよりもB.H.A/松下ドライバのほうが20〜30%速いようです。また、3倍速DVD-RAMでの書込速度はB.H.A/松下ドライバとほとんど同じです。
5倍速DVD-RAMの書込速度だけB.H.A/松下ドライバよりInCDが速いということになりますが、その場合でも27分と32分の違いですから性能的にはあえてInCDを使うことはないような気がします。
DVD+RW、DVD−RWについて
4倍速DVD±RWはDVD-RAMと違い書込時にベリファイはしないので、5倍速DVD-RAMよりも書込速度は速いはずですが、小さなファイルを大量に扱うは場合にはランダムアクセスセ性能等が影響するのか、5倍速DVD-RAMとそれほど変らないようです。
今回テストたDVDの中ではDVD-RWの書き込みが26分23秒と一番速かったのですが、5倍速DVD-RAMが同じInCDを使って27分22秒ですから、ほとんど同じです。
DVD+RWの書き込みは32分53秒とDVD-RWと比べて5分程度遅いのですが、逆に読み込みはDVD+RWが27分32秒、DVD−RW 44分となっています。 同じInCDを使った中で判断すると、総合的には5倍DVD-RAMが一番速いようです。
しかも、DVD-RAMにはベリファイによる確認が必ず行われていますから、速度に大した違いがないならDVD-RAMを使ったほうが安心です。
ただし、今回のような大量の小さなファイルではなく、大きなファイルを読み書きする場合には、4倍速DVD±RWのほうが書き込みは速くなる可能性もあります。
※
| InCDではDVD+RWの推奨フォーマットはUDF1.5になっていましたが、UDF1.5/UDF2.0どちらを選択しても結果に大きな違いはありませんでした。
|
まとめ
今回のテストは4Gバイトで7万8366個というファイルを扱っていますが、1つのファイルサイズの平均は約50Kバイトです。
MP3等の音楽データだと1曲数Mバイトはありますし、デジタルカメラ等で撮影された画像ファイルでもメガピクセル級なら数百Kバイトから1Mバイト以上のサイズになるはずです。
エクセルやワード等のデータファイルやテキスト、HTMLファイルなら数10kバイトというサイズも多いかと思いますが、それにしたって7万個以上のファイルで埋め尽くされているなんてことは少ないはずです。
1件1件のデータファイルが分かれているメールスプールとか、ブラウザのキャッシュなら平均ファイルサイズはもっと小さくなるかもしれませんが、サーバ用途でもない限りそういったスプールで何Gバイトも埋めていることはないはずです(サーバなら普通にありうるのですけど)。
OSやプログラムといったケースだと、うちのWindowsフォルダの配下は2Gバイト/1万1888個ですから、平均168kバイトはあります。
ようするに、4Gバイト/7万8366個 平均50Kバイトのファイルを一気に読み書きするというのは、めったにない過酷な条件というわけです。
そのような過酷な条件下で5倍速DVD-RAMは4Gバイト/7万8366ファイルを32分程度の時間が書き込みしているわけですから、普通の使い方ならもう少し速くなるはずです。
また、DVD-RAMやパケットライトの読み書きはドライバの性能も大きく影響します。
DVD-RAMの場合、総合的に判断するとInCDより従来からのB.H.A/松下ドライバを使ったほうが良さそうですが、5倍速DVD-RAMの書き込みはInCDが一番速かったのは事実です。ドライバの改善や進化の余地はまだあるはずです。
【関連記事】
以下のページでもDVD-RAMドライブに関するテストを行っています。
テスト環境が異なるので今回のテストとは直接比較はできませんが、参考にしてください。
→ 2004.07.13 LF-M721JD 5倍速DVD-RAMベンチマーク
→ 2004.07.15 LF-M721JD 5倍速DVD-RAM (2)
→ 2004.03.30 薄型DVDスーパーマルチドライブUJ-820 DVD-RAMベンチマーク
→ 2003.08.05 GSA-4040B DVD-RAMベンチマーク
→ 2003.08.13 GSA-4040B パケットライト
→ 2003.09.19 DVD-RAM ソフトウェア RAID/Linux
→ 2003.12.14 DVD-RAM ソフトウェア RAID/Linux (2)
→ 1998.05.24 DVD-RAMドライブ ベンチマーク
→ 2000.07.25 4.7GB DVD-RAM Panasonic LF-D200JD リポート
→ 2002.09.21 DVDマルチドライブ DVR-ABH2 ベンチマーク
→ 2003.09.04 SW-9571 DVD-RAMマルチ ドライブ購入
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